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「わかった。
アッサンドラには使いを出すっ。
返事が来るまで、アローナは此処にとどまるがよい!」
そう慌てて叫ぶと、アローナの手をつかんだまま侍女は足を止め、ジンを見据えた。
その顔つきに、ジンは、まだ年若い侍女ではあるが、なんとしても姫を守ろうと言う気概が感じられ、頼もしいな、と思っていた。
アローナに良い侍女がついていることを嬉しく思う。
……まあ、出来のいい侍女、今はちょっと邪魔なんだが、と思いながらも、ジンは姫思いの侍女に向かい、訴えた。
「大丈夫だ。
ちゃんと手順は踏む。
私はアローナを妻に迎えたいのだ」
その言葉に、アローナが驚いた顔をする。
「なんというか、ひとりは妃がいるな、と思っていたので。
アローナがいてくれると、ちょうどいいのだ」
それを聞いた侍女とフェルナンが、何故か、あ~……と残念なものでも見るかのような目でこちらを見た。
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