出来のいい侍女は厄介だ

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「どうなさいます? 姫様」  ちょっと溜息をついたあとで、侍女がアローナに訊く。  アローナは青ざめ、こちらを窺っていた。  此処に残ったら、キズモノにされるのだろうか……? という心の声が此処まで届いてくるような表情だった。  いや、もちろん、いずれするが。  嫌がるお前に無理やりということはない、とジンは目で訴える。  アローナは迷いながらも、 「あ、あの……また今すぐ砂漠を越えるのは」 とちょっと困ったように侍女に言っていた。  侍女は少し考えたあとで言う。
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