出来のいい侍女は厄介だ

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「アローナ、寝てしまったのか?」 「では、わたくしはこれにて」  ジンの言葉にかぶせるくらい素早くそう言ったエンは、何故か中庭の方から帰っていく。  庭にぼんやり立って、おそらく、今後の就職のことを考えていたシャナに出くわし、 「あら、こんばんは。  もう遅いですわよ。おやすみになられては?」  などと会話をしながら。 「アローナ?」 と扉の向こうから、ジンがまた呼びかけてくる。  アローナは迷って周囲を見回した。  誰か、なにか、この状況の助けになるものはないかと思ったからだ。
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