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「別にお前をどうしても花嫁にしたかったわけではないのだが。
他を見つけてくるのも面倒くさいしな」
となにやら言い訳がましいことを付け足しながら。
……なんでしょう、一日でこの激変。
オアシスに着いて、
わあ、水があるーと言った瞬間に連れ去られ、
娼館に売られ、
声の出なくなる薬を飲まされ、
アハト様に買われて、貢ぎ物として此処に来て。
気がついたら、ジン様の花嫁になっていました。
「王となったからには、妃が必要だしな。
アッサンドラの姫なら申し分はない。
別にお前が好みだとか、お前じゃなきゃ嫌だとか言うわけではないのだが。
……今日からお前は俺の妻だからな」
とまだ、ごちゃごちゃ言いながら、ジンが、ぽん、と肩に手を置いてきたので、つい、さっきのエンのように払ってしまっていた。
もう妃であって、貢ぎ物じゃないんだから、少々派手に抵抗しても斬り殺されることもあるまいと思いながら。
ジンに言ったら、
「いやいやっ、お前どんな状況下でも派手に抵抗してるだろうがっ」
と叫ばれていたかもしれないが。
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