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「そうなんですよね…。衣替えなんて昔は日付が決まってたじゃないですか。それが今じゃ、いつまでも暑いので、夏から秋に代わるラインが難しくて。いつまでも上着の下はノースリーブだったりしますからね」
気が付くと私は焼肉素麺を綺麗に食べてしまっていた。
手を合わせて、
「ご馳走様でした」
と言うとお茶を飲んだ。
「上杉さん、今年は夏休みは…」
私はテーブルの上のタバコを手に取り、咥えながら訊いた。
「そうですね…。いつ取ろうかな…って考えている所です」
上杉さんの会社は七月から九月の間の好きな時に夏休みを取る事が許されていて、空いている時に海外に行く人なども多くいる様だった。
「先生はどうされますか」
上杉さんも食べ終えたお皿の上に箸を揃えて手を合わせている。
私の夏休みか…。
そんなモノをもらった覚えが一度も無い。
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