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「私は日に一度ああして天使に物を食べさせ、遊んでやる。私の入院中、それをお前に任せたいのだよ」
「あれは、あれだけの食物で生きているのですか……」
「そんな訳はないさ。食事は別に朝晩、食堂からコンベアで運ばれる仕組みだ。しかし天使にも娯楽は必要だろう。間食と遊戯、それを与えるのが私の仕事だ」
ひどく気持ちが悪い。
得々と語るその様子には一切の悪意がないどころか、自慢げですらある。
「温室の中に水浴びのできる場所もあるし、何一つ不自由はない。天使は口さがない人間に狙われることなく、安心して暮らしていられるのだよ」
まるで自分があの子のために全てを与えてやっているかのようなその口ぶりに怖気が走る。
私は張り付いたような笑顔でどうにかその場をやり過ごした。
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