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 未和がまた手を伸ばしてくる。腕を掴まれるかと思って身構えたら、その指先はあたしの髪に触れた。 「(いた)……っ」  頭皮にするどい痛みが走った。髪をまとめていたバレッタを、未和にむしりとられたからだ。お姉ちゃんに買ってもらった、キラキラのお気に入り。未和は興味もなさそうな半目でそれを眺めている。 「とりあえず、これもらっとくね」 「未和……」  これは、みーちゃんを家来みたいにしていた罰なのかな。それとも、たっくんを死なせたこと? その罪を黙っていたこと? 全部忘れて普通に生きてきたことへの……?  その場にへたり込んだあたしの頭上に、バニラちゃんの残骸が雪のように降り注ぐ。綿(わた)の合間から、あたしを見下ろす未和の不気味な笑顔が見えた。 「ねぇゆう子ちゃん、幼なじみって、いいよね」 【了】
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