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天菜は見上げたまま「除霊師」の文字にやたらと金が無いアピールをする。相手は横にいるのだが、胡散臭さに顔も向けたくないのだ。無駄にイケメンなので変に惑わされても困りものという理由もある。
「金が無い? ならアユちゃんとのカラオケは奢りか?」
「ああああ! それ! 待ち合わせしてたのに!」
天菜はスマホを出してアユちゃんへメッセージを送ろうとした。
「俺もそれ行くからアユちゃんにそう伝えて。『カレシ来ちゃって帰らないって言うんだけど連れて行ってもいいかなぁ? お ね が い』」
「そんな気色悪いの送れないし! 送らないし! ついて来ないでよ」
画面に夢中になってる天菜の肩をツンツン叩くイケメンに、ジロリと睨むとイケメンは微笑んだ。
「連れて行かないとまた入るけどいい? 天菜の中、気持ちいいし──」
天菜はとっさにイケメンの口を手で覆った。百五十センチの天菜に対し、イケメンは百八十センチくらいありそうで、ちょっと遠い口にジャンピングアタックに近い封じ込めをした。
「いてっ! 暴力、暴力。お前、中に入ったとき覚えとけよ!」
「その言い方! 気持ち悪いからなんとかして」
「他にあるか? 俺を挿入──」
「変態!」
変な人に絡まれて待ち合わせの時間に遅刻しそうだ。イケメンの癖に爽やかに下ネタ言うし、なんかやたらと怪しいし。
「まぁまぁ、落ち着いて? カラオケ行こう。俺も歌ってあげるから。バラードな」
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