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『じゃあ初めて天菜の中で逝って貰おうか』
『は?』
『吸い込んで、飲み込んで、消化。消化イコール除霊な。覚えた?』
『ヤダヤダ、飲み込むってなに! ムリムリムリムリ』
『大丈夫大丈夫。俺が全部やるから天菜は身を任せておけばいい』
『なにいってんの! ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ』
拒否しているのにツカツカと歩いてしまう足。焦って変な汗が出てきた。そういうのは意志とは違うからなのか天菜の感情としっかりシンクロしている。
カウンターにつくと、女性が天菜を見た。目が不思議な動きをしている。グルングルン回ったり、左右連動していない眼球に気が遠くなりそうだ。
「さぁ、おいで」
天菜の口からタクミの声がした。そして、天菜の口がガバっと開く。ファストフードのアックのドでかいバーガーを食べるときですらこんなに口を開いたことがない。というより、口が裂けそうだ。
「ひゃだー! ひゃだーって!」
歯医者で泣き叫ぶ子供のように抵抗するが、あの気持ち悪い物体は女性から抜け出て天菜の口にゆるゆると移動し始めた。見た目通り、ゼリー状の液体が口に侵入し全部入り終わると天菜の口は閉じた。
「うう……」
半べその天菜は意志に反し、そのままゴクリゴクリとそやつを飲み込んでいく。
『ああ……、夢なら醒めて。早く、早く』
『夢じゃない。よし、除霊終わりだ。よく飲めました』
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