満たされるのに足りない

1/1
141人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ

満たされるのに足りない

「んぅ……っん」  トレーナーの裾から手が入り込み、お腹を撫でる。脇腹に手が這うとくすぐったさで体をよじった。 服の中でもぞもぞと手が動き、ブラジャーがずらされる。真史の目は強く熱を宿していた。 「あっ、あ、んっ」 「舞」  片手はふにふにと胸を揉み、片手は胸の先端を弄る。指先で軽く引っ掻かれ、体がビクッと震えた。  両方の先端をぎゅっと摘まれ、さらに息を乱す。 「あぁっ、はぁっ……っ! そこ、だめっ」 「駄目? 俺は触りたい……ね、どう? 駄目?」  いつの間にかショーツの中に手が入り込み、熟しだした芽を指がなぞった。その瞬間、強い快感が体に広がる。 「あっ、あっ、はぁっ」 「良かった、ちゃんと濡れてる」  声をもらし続ける私を眺めながら、真史はどんどん指の動きを速める。襲い来る気持ち良さに私は目をぎゅっと閉じた。 「あぁっ、ん、んんっ」 「舞……気持ち良い? かわいい」 「あ、あっ、あっ……っ!」  擦り続ける指に限界まで追い込まれ、ついに気持ち良さが決壊する。薄く目を開くと、体を震わせる私を愛しそうに見つめる瞳があった。  恥ずかしいのに、同時に喜びも感じる。胸の奥に痛みが走った。 「はぁっ、はぁっ」 「かわいい。舞の全部がかわいくて、全部が欲しくなる……満たされるのに、まだまだ足りない」  達したばかりでぼうっとしている私の服、下着を真史は完全に脱がせる。そして自分も服を脱ぐと、私の体に手を添える。真史の手に支えられながら、彼の体に跨った。座る真史の太ももに私も座る。  天を向いている熱は充分に硬くなっていて辛そうだった。私も早くそれが欲しいと疼くのに、真史は動きを止める。 「あ、ごめん、忘れてた……」  きっと避妊具のことだろう。一度私を降ろそうとした真史の肩に触れ、動きを中断させる。 「……このままがいい」 「っ……ほんとに、いいの?」  息を飲んだあと、私を窺う真史。そんな彼に、こくりと頷いた。 「わかった……体、動かすね」 「ん……」  腰に添えられた手がゆっくり私を導く。腰をおろしていくと、熱の先端が徐々に中に入ってきた。待ちわびたものに体は喜び、波打つ。 「あっ、ん……はいって、る」 「はぁっ」  根元までを収めると、私は自分から腰を動かした。一定のリズムで浅くなっては深くなる。その度にきゅんきゅんと真史を締めつけた。 「んっ、んっ、ぅ」 「舞……ごめん、我慢、できない」 「っ! あっ、あぁっ、ん」  私の動きでは足りなかったらしい真史も下から腰を突き上げる。深いところまで繋がり、私は喉を仰け反らせた。 「ん、んんっ、まさふみっ」 「舞、舞、好き、好きだよっ」 「はぁっ、あっ、ん」  激しく突かれる度に胸が揺れてしまう。恥ずかしいのにそれを気にする余裕はなくなっていた。 「あ、あ、あっ」 「はぁっ」 「まさふみ、すきっ、わたしも、すきっ」 「舞、好き……舞の全部を愛してるっ」 「ん、っん、あぁっ、っ」  二人で限界を迎える瞬間、どちらともなく唇を寄せる。熱い息を混ぜ合わせながら、深いキスに夢中になる。  この気持ち良い行為に、何度でも求めてしまう熱に、溺れているみたいだった。  しばらく私たちはぎゅうぎゅうと抱きしめ合い、お互いにしがみついていた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!