141人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
満たされるのに足りない
「んぅ……っん」
トレーナーの裾から手が入り込み、お腹を撫でる。脇腹に手が這うとくすぐったさで体をよじった。
服の中でもぞもぞと手が動き、ブラジャーがずらされる。真史の目は強く熱を宿していた。
「あっ、あ、んっ」
「舞」
片手はふにふにと胸を揉み、片手は胸の先端を弄る。指先で軽く引っ掻かれ、体がビクッと震えた。
両方の先端をぎゅっと摘まれ、さらに息を乱す。
「あぁっ、はぁっ……っ! そこ、だめっ」
「駄目? 俺は触りたい……ね、どう? 駄目?」
いつの間にかショーツの中に手が入り込み、熟しだした芽を指がなぞった。その瞬間、強い快感が体に広がる。
「あっ、あっ、はぁっ」
「良かった、ちゃんと濡れてる」
声をもらし続ける私を眺めながら、真史はどんどん指の動きを速める。襲い来る気持ち良さに私は目をぎゅっと閉じた。
「あぁっ、ん、んんっ」
「舞……気持ち良い? かわいい」
「あ、あっ、あっ……っ!」
擦り続ける指に限界まで追い込まれ、ついに気持ち良さが決壊する。薄く目を開くと、体を震わせる私を愛しそうに見つめる瞳があった。
恥ずかしいのに、同時に喜びも感じる。胸の奥に痛みが走った。
「はぁっ、はぁっ」
「かわいい。舞の全部がかわいくて、全部が欲しくなる……満たされるのに、まだまだ足りない」
達したばかりでぼうっとしている私の服、下着を真史は完全に脱がせる。そして自分も服を脱ぐと、私の体に手を添える。真史の手に支えられながら、彼の体に跨った。座る真史の太ももに私も座る。
天を向いている熱は充分に硬くなっていて辛そうだった。私も早くそれが欲しいと疼くのに、真史は動きを止める。
「あ、ごめん、忘れてた……」
きっと避妊具のことだろう。一度私を降ろそうとした真史の肩に触れ、動きを中断させる。
「……このままがいい」
「っ……ほんとに、いいの?」
息を飲んだあと、私を窺う真史。そんな彼に、こくりと頷いた。
「わかった……体、動かすね」
「ん……」
腰に添えられた手がゆっくり私を導く。腰をおろしていくと、熱の先端が徐々に中に入ってきた。待ちわびたものに体は喜び、波打つ。
「あっ、ん……はいって、る」
「はぁっ」
根元までを収めると、私は自分から腰を動かした。一定のリズムで浅くなっては深くなる。その度にきゅんきゅんと真史を締めつけた。
「んっ、んっ、ぅ」
「舞……ごめん、我慢、できない」
「っ! あっ、あぁっ、ん」
私の動きでは足りなかったらしい真史も下から腰を突き上げる。深いところまで繋がり、私は喉を仰け反らせた。
「ん、んんっ、まさふみっ」
「舞、舞、好き、好きだよっ」
「はぁっ、あっ、ん」
激しく突かれる度に胸が揺れてしまう。恥ずかしいのにそれを気にする余裕はなくなっていた。
「あ、あ、あっ」
「はぁっ」
「まさふみ、すきっ、わたしも、すきっ」
「舞、好き……舞の全部を愛してるっ」
「ん、っん、あぁっ、っ」
二人で限界を迎える瞬間、どちらともなく唇を寄せる。熱い息を混ぜ合わせながら、深いキスに夢中になる。
この気持ち良い行為に、何度でも求めてしまう熱に、溺れているみたいだった。
しばらく私たちはぎゅうぎゅうと抱きしめ合い、お互いにしがみついていた。
最初のコメントを投稿しよう!