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里中がアーケードの格闘ゲームに励むのを、俺たちは両脇に座ってみていた。
「さっきずっと、杉山さんのこと見てただろ」
吉田がゲームを見ながら聞いてくる。杉山さんが誰だかピンと来なかったが、直ぐに誰のことかわかった。
「みてねぇけど」
「いや、ずっと見てたぞ」
振り返る里中の向こうの画面では、操作しているキャラがボコボコに攻撃されていた。
「見てたかもしれないけど、ずっとは見てない」
「いや、割と長かったぞ。」
「長かったぞ」
ゆっくりキャラクターが倒れ込み『You lose』と表示されていた。
「お前負けてるぞ」
「いぐっちと杉山さんて幼なじみなんだっけ」
「ん?まぁな」
俺と杉山さんの家は隣同士だった。小学校からずっと同じである。
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