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「普段は何て呼んでんの?」
帰りになっても、2人はまだ杉山さんの話しで盛り上がっていた。そんなに好きだったんだな。
「最近は呼んでないぞ」
「じゃあ、今までは」
何故そんなことが知りたいのか。それとも俺をからかってるのか?
「今まで?・・・いおら、かな」
杉山伊織良≪いおら≫、それが彼女の名前だ。
「やっぱり、名前なんだ」
「なんでもいいだろ」
「ほんとに斎藤と付き合ってんのかな」
里中がにやにやしながら言う。斎藤は俺たちのクラスメイト。
サッカー部でチャラく、女癖が悪いという噂もある。
「ほんとならがっかりだな」
俺は何も言わなかったけれど、本当なら確かにがっかりだった。どうせなら、諦めのつく人と付き合ってほしい、というのは図々しい理想なのだろうか。
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