1日前

6/10

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 「普段は何て呼んでんの?」  帰りになっても、2人はまだ杉山さんの話しで盛り上がっていた。そんなに好きだったんだな。  「最近は呼んでないぞ」  「じゃあ、今までは」  何故そんなことが知りたいのか。それとも俺をからかってるのか?  「今まで?・・・いおら、かな」  杉山伊織良≪いおら≫、それが彼女の名前だ。  「やっぱり、名前なんだ」  「なんでもいいだろ」  「ほんとに斎藤と付き合ってんのかな」  里中がにやにやしながら言う。斎藤は俺たちのクラスメイト。  サッカー部でチャラく、女癖が悪いという噂もある。  「ほんとならがっかりだな」  俺は何も言わなかったけれど、本当なら確かにがっかりだった。どうせなら、諦めのつく人と付き合ってほしい、というのは図々しい理想なのだろうか。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加