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伊織の視線を追い思わず目をみはる。検索してみると、確かにそのとおりだ。大きな木を象った青い絵柄。
「ほんとだ……このNozomiって人は新条ケ崎ホールディングスでも働いてたってことか。てことは、もしかして、陽向も知ってる人かな……」
私の言葉に青子が唐突に席を立つ。
「ていうか、この女のことじゃなくて、戸森がどこに行ったか。それを調べてるんじゃないの? 今」
「けど、戸森と最後に話したのが、もしこの人なら、何か関係あるかもしれないし、それに……」
現場から立ち去ったという男――あれがいきなり戸森だと想定するのはあまりに強引すぎるし、なんの確証もない。けれど、嫌な予感と想像が頭を離れない。それでいて、繋げざるを得ない考えに至っている自分に気づく。伊織の表情を見ればわかる。伊織もきっと、同じことを考えている。
「ねえ、何考えてんの? 戸森が……あの戸森が、そんなことできるわけないじゃん。信じらんない、こんな女とつなげて考えるなんて」
「青子、落ち着いて……」
青子の袖を掴むも振り払われる。
「伊織と凛はさあ、戸森がこの女を殺して逃げてると思ってるんでしょ?」
「そんなこと言ってない。でも、タイミング的に何か関係があるかもしれないって思うのは……」
私の言葉を最後まで聞かずに、
「もういい。私一人で戸森を探すから」
と、青子はヒステリック気味に声を上げたあと、鞄をひっつかんで玄関へ走り去ってしまった。
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