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「付き合いたての、かわいい恋人がいるので…お付き合いも結婚もできません、ってね」
「っ」
楓馬の吐息が耳に触れるこそばゆさに体を震わせた誠の頬に、楓馬は軽く唇を押しつけ口づけた。
「マコっていう恋人がいるのに、ほかの誰かに心惹かれたりなんかしないよ?」
「…分かってる、けど」
誠実で実直、そして、生真面目な性格をしている楓馬の言葉に、嘘や偽りを疑ったことなんて、今まで一度もないけれど。
でも、と言いたくなるくらい、とにかく楓馬はよくモテる男だった。
──元々楓馬は、ヘテロで。
幼馴染みとしてその間近で、楓馬の生い立ちをずっと見てきたから知っているのだけれど。
幼少期からずっと、女の子にモテ続けてきた楓馬は、
『付き合って』
と告白してくる女の子を、切らしたことがなかった。
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