Part1 悟

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Part1 悟

俺は走っている。かつて、こんなにも胸を期待と少しの不安で膨らませ、息せき切って走ったことがあるだろうか。 仙台着20:08。東北新幹線を下車したその足で全力疾走だ。降り始めた雪が顔に容赦なく当たって溶ける。水滴が頬を濡らし、涙のように伝い落ちる。雪のやつ、なんなら口の中にも容赦なく飛び込んでくる。でも不思議と寒さは感じない。 目的地は、とある牛タン屋である。地図は新幹線の中で何度も見たから頭の中にインプット済だ。 なんでこうなったのか。それを説明するには、2週間ほど時間を巻き戻す必要がある。
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