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ピョンピョンストロベリー先生こと苺花に出会った日から玲奈(れな)は時々一緒に漫画を描くことになったけれど、一緒にいると現実味がなくなってしまうことが多かった。 もちろん、自分なんかがあの有名なピョンピョンストロベリー先生と一緒に作業ができていること自体が非現実的ではある。だけど、それ以上に苺花が超絶天然というか、かなりマイペースというか、すぐには理解できない行動を取ることが多かった。 出会った日に飲んでいいよ、と言われてもらった麺つゆの瓶のことは今でも会うたびに思い出してしまう。 あそこの公園の近くに麺つゆを売っている自動販売機があることは、テレビで取り上げられたのを見たから辛うじて知ってはいた。 だけど、自分がそこの自動販売機の麺つゆを手に取ることがあるとも思わなかったし、ましてや1口だけとはいえ直で飲むことになるなんて夢にも思わなかった。 初めて会ったときに向かい合ってケーキを食べたあの時の違和感も初めは見間違いと思ってスルーしてしまっていた。まさかケーキに塩をかけて食べるなんて考えたこともなかったから。だけど、麺つゆを直で飲むような人だから、あれは見間違いじゃなかったのかもしれない。 それ以外にも、苺花と作業を共にしていると、不可解なことはどんどん増えていった。
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