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夫の唇
網浜 累子は自宅のコップの上に座らせられた。
夫は会社から事情を聞いてはいたものの帰宅して本当に自分の妻がコップに座っているのを見て驚いた。
累子はコップの縁に座って夫を見上げていた。
『人間って案外大きいわねぇ。夫は大して背が高くないはずなのにとても大きく見えるわ。』
夫はコップにお茶を入れて、飲もうとした。しかし、累子が座ったままだと飲みづらい。いや、累子を落としてしまうかも。落ちたとき壊れたりしたら、元に戻った時にバラバラになってしまうかも。
でも、累子からの伝言でコップの縁に座ったままあなたの事を見てみたい。という伝言を累子の会社からもらっていたので累子をおろすのもためらわれた。
『そうだ。ストローだ。』
夫はストローを探してきてストローでお茶を飲む。
累子はじっくりと夫の唇を観察した。
『ふんふん。思った通り。厚すぎず薄すぎず、いい形の唇よね。』
『ストローで飲むときの唇は見たことなかったわ~、こんなに近くで見られるなんて、やっぱりこの人形になって正解だったわね。』
累子は唇フェチだったのだ。夫との結婚も唇で決めたと言っても過言ではない。
お茶を飲む間じっくりと夫の唇を観察し、至極満足な累子。
しかし、コップを洗う間は累子をおろさなければいけない。
夫は累子を傷つけないように厚地のタオルを畳んでリビングの広いテーブルの上に置き、その上に累子をおろした。
下ろすときに座っている形の累子のスカートの形が気になって下から除くように見てみた。
『ほうほう、やっぱり累子はお尻の形がいいよな。』
『制服のスカートの上からだとこんな感じになるんだな。』
実は夫はお尻フェチだった。
お互い相手の性癖は知らなかった。
累子はそのまま置いてくれればいいのにと、自分をひっくり返して下から除く夫を見て驚いた。
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