僕たちの答え

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「フフ、冗談だったのに。今日は会議があって遅くなるって前から言ってたじゃん」 「っ……それは、そう……なんだが……でも」 「もう、相変わらず真面目だなぁ。そんなに気にしなくていいのに」 苦笑しつつ改めて皆の方を見ると、一連のやり取りを見ていた拓海と雪哉は目を丸くし、橘は訝しげに眉を寄せてこちらを見ていた。 「和樹……これは一体」 おそらく、もっとギクシャクしているものだとばかり思っていたのだろう。ポカンとした顔が雪哉の顔がなんとも可笑しい。 「んもー、どこもかしこもラブラブで羨ましいわね! とりあえず、みんな集まったみたいだし、そろそろ……」 「ナオミ姐さん。もうちょっとちょっとだけ待っててくれない? 透が和樹に渡したいモンがあるって」 アキラの言葉で周囲の視線が一点に集まる。 渡したいもの? 一体何の話だ。そんなサプライズがあるなんて聞いてない。 「クソッ、アキラお前、ハードル上げやがって……ッ!」 苦虫を噛み潰したような顔をした後、透は覚悟を決めたかのように大きく深呼吸をして、和樹の正面に立った。 なんとなく緊張が伝わってきて、和樹も思わず背筋を伸ばす。 「なになに、ワクワクするわね!」 「ナオミさんシーッ! 静かに」 雪哉の制止も虚しく、興奮気味に声を上げるナオミを尻目に、透は小さく舌打ちしつつポケットから小さな箱を取り出した。 「……言っておくけど……。これは、単なる虫除けだからな! 別に深い意味は無いから……」 言いながらぶっきらぼうに小箱を胸に押し付けられて、キョトンとした後、和樹は思わず吹き出した。 そんなに必死にならなくてもいいのに。透らしい不器用さが愛おしくて堪らない。 「……ふはっ、ありがとマッスー。開封の儀は後でさせてもらうよ」 「えぇ、今開けないの? 中身見たいのにぃ」 残念そうなナオミ達の声が後ろから聞こえてくる。だが、和樹は静かに首を振った。 「ダメ。マッスーからもらった大事なものだから、これは後でじっくり開けてみたいんだ」 「んだよ、期待させやがって……公開プロポーズかと思った」 「僕も」 「オレも〜」 「お前らなぁ」 橘達の冷やかす声に、透はバツが悪そうにしている。だけど、こんな風に自分の事を想ってくれている人がいる事が本当に嬉しいのだ。 ――本当に……幸せ者だよなぁ、俺って。 しみじみと感じ入っていると、雪哉とばっちり目があった。 これは一体どういうことだと言わんばかりの視線に、思わず笑みがこぼれる。
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