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「え? な、なんで急に?」
「ん? まぁ、何となく? だってお前、一年の時は女の子にモテたい!! ってうざかったじゃん」
「ウザいって……。教師が生徒にんな事言っていいのかよ」
言いながらも、確かにそう思われても仕方が無いかもと苦笑する。入学当初はとにかく早く童貞を捨てたくて、モテたい一心で女の子にアプローチしまくっていたのは事実だ。
「ん―……、なんて言ったらいいのかな。2年に上がるちょっと前位にさ、ちょうど此処の公園でバスケの試合みたいなのやってたんだ」
「バスケ?」
「うん。その中にすっごい子供みたいな顔して楽しそうにバスケやってるマッスーを見掛けてさ、なんか……そう言う一面もあるんだなぁって思って……。ああいう風に無邪気に楽しめるって良いなーってグワッと来たって言うか」
目を閉じれば、今でもその情景が浮かんでくる。学校に居る時とは全然違う教師という殻を脱いだその姿は、とてもキラキラと輝いていて眩しくて、どうやったらモテるのかという事ばかりを考えていた自分の心にスッと飛び込んできた。
勿論、自分の気持ちに戸惑いが無かったかと言われれば嘘になるが、周囲に同性が好きな友人が何人も居たからだろうか? 割とあっさりとこの感情を受け入れる事が出来た。
「マッスーってさ、普段めんどくさい~。とか何とか言ってるくせに、凄く面倒見がいいだろ? そういう所、尊敬出来るし、教え方もすっげぇ上手だし、何より一緒に居て楽しいから……。あー、あと尻の形がすっげぇいい」
「フハッ、尻かよ」
「だってさ、あれだけ筋肉質なのに腰とか細いしさ、形もいいし……。あんなの反則だよね。思わず揉みしだいちゃいそうになるもん。まぁ、でもフラれ続けてるんだけどさ……。でも」
「あー、わかったわかった。お前が透が好きだっつーことは、よく理解できたよ」
まだまだ話したいことは山ほどあるのに、アキラが苦笑しながらもう腹いっぱいだとばかりにその言葉を遮った。
よくよく辺りを見渡せば、自転車を置いていた場所まで戻って来ており、結構な時間話し込んでいたんだと気付かされる。
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