あぁ勘違い

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(和樹SIDE) 「で? いざって言う時に、スマホが鳴って何もせず帰っちゃったわけ?」 昼休み。今日は天気も良かったので和樹は拓海と雪哉と共に屋上へと足を運んでいた。 いつもなら昼食を食べながらくだらない雑談をするのだが、周囲にあまり聞かれたくない話題という事もあり、人気のないこの場所を選んだのだ。 「だ、だってさ……、流石にヤバいかなとか色々考えちゃって……」 「ヘタレかよ」 「う……っ」 辛辣な拓海の言葉に、雪哉もコクコクと頷く。 「……しかも、慌ててパンツ履かずに逃げるとかさ、増田先生今頃パニックなんじゃない? まぁ、暗いとどれがどれだかわからなくなる気持ちはわからないでもないけど……」 「なんだよユキ~、お前そんな経験あるんだ?」 ニヤリと笑いながら拓海に問われ、雪哉は飲みかけの牛乳をブホッと噴き出しそうになり慌てて口元を手で拭った。 「へぇ、あるんだ」 「っ、ぼ、僕の事はいいから! それより、和樹。どうするんだ?」 真っ赤になってしまった頬を誤魔化すように咳払いすると、雪哉は慌てて話題を元に戻す。 「ど、どうって言われても……なんか気まずいし……」 「……」 モゴモゴと口籠る和樹に、二人は呆れたような目を向ける。 「ほんっとヘタレかよ」 「うぅ……っ」 「和樹って、普段ウザいくらい増田先生に絡んでいくのにこういう時は全然ポンコツなんだな。もっとグイグイ行くのかと思てたよ」 「ヘタレだのポンコツだのって、さっきから二人とも酷くね!?」 「だって事実だろ?」 「……っ」 二人の言う通りなので反論の余地もない。
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