19人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「次」
警官がこちらに視線を向ける。その時、一歩踏み出した勇者がいた。
「ホモ03、いっきまーーす!!」
「すげぇな…」
「ホモ01が頑張ったんだ!俺もそうするしかないだろう!?」
そう言うと、牛田はマイナス一歩ずつ歩き出した。そう、後ろに進み始めたのだ。
「どうしたんだ?」
金田が聞くと、牛田は元気いっぱいに答えた。
「行くぜ!!」
「だから、何で後ろに…」
その時、牛田が走り出した。
勿論、今度はプラス一歩ずつだ。
流石、元バド部顧問。
異様な速さで警官に突進していくと思ったら、そのまま膝をつき、スライディングで進んだ。
そして、キィィイイイイイという床と膝が擦れる音を立てながら、警官の前でピタリと止まった。
「お願いします!」
警官は思い切り顔を顰めた。
「キモッ」とでも言いたそうな表情だ。まぁ、それも仕方ない。
全裸の男がスライディング土下座で迫ってきたら、誰だって殴りたくなるだろう。
冷水を浴びながら、「フハハハハ!良いぞ良いぞ!」と叫ぶ牛田を見て、亀田と金田はため息をつくしかなかった。
牛田はさながら狂人だった。
次に犠牲になったのは亀田だった。
断末魔を上げながらデッキブラシで擦られる様は、江戸時代の拷問のようだ。
最初のコメントを投稿しよう!