36人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
出会い2
コンコン…
【どうぞ】
「失礼します」
【…】
俺は用意されている椅子の横に立ち頭を下げる
「隣町のカシカワ店でお世話になってる小泉智史です」
緊張で頭をあげられない
【ふ…頭をあげて?どうぞおかけください】
「はい、失礼します」
目の前に座る彼も、書類に目を通しているのか目は合わない
【小泉くん、仕事は好き?】
「え?は…まぁ…」
【就職は?どうするつもり?】
「あ、えっと…大学で勧められた会社を幾つか受ける予定です」
【ふぅん…勧められたって?君の希望は?】
こんな事言っていいのかな
「実は…特になりたいものとか、やりたい事とか…わからなくて」
【じゃ、どこでもいいんだ?】
「まぁ、自分が楽しいと感じられるところであればいいと思っています」
【そう?じゃあさ…】
そう言って彼はやっと顔を上げ、目が合った
「あっ!」
【ふふ…覚えてくれてたんだ?】
彼は嬉しそうに笑った
「な…なんで…」
【あ、あの時ね?抜き打ち】
「えぇ…そう…だったんですね…」
【あの時間帯にも関わらず、あんなスマイルで見送られたら明日も頑張ろっかなって思うよね】
最初のコメントを投稿しよう!