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目が覚めると、冬だというのに汗をかいていた。
真っ先に虫籠を確認した。
虫になっても、テオは生きている。
あの日から、テオの人生を奪って、今なお命を握っている。
もうずっと、彼の言葉を聞いていない。
人語を理解しているのさえわからない。
人としての時間は止まってしまったのかもしれない。
「テオ……」
虫にされていなければ、今頃は両親に囲まれて家にいただろう。
自分がその機会を奪った。
絶望しただろう。恨んで、当然だ。
ルイスは虫籠の前にひれ伏した。
「テオ、ごめん……」
答えはない。
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