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懺悔
「ごめん、ごめんなさい。
僕は取り返しのつかないことをした。
君が受けるはずの愛情を、恩恵を、時間を僕が奪った。
必ず元の姿に戻すよ。そして君が……」
許してくれたら嬉しい、と続けようとしてルイスは愕然とした。
それは、あまりにも自分に都合がよくないか。
テオはまだ虫のままなのに、許されようとするのか。
なんてあさましい。
「ごめんなさい……」
こんな自分と関わったばかりに。
テオだけではない。彼の両親、物で釣ってきた友達、街の皆にも迷惑をかけてきた。
お父様にも、お母様にも。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
謝って現状が変わるわけではない。だが今できるのは懺悔することくらいだった。
後悔で胸が苦しい。だが「苦しい」と思うことすら傲慢だ。
愚かな人間だ、悪だ、どうしようもない奴だ。
この罪悪感からは永遠に逃れられないだろうと確信した。
冷たい空気が喉を刺す。
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