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禁じられた魔法
「虫になれ!」
ルイスは杖をかざして魔法を放った。紫の炎がうねり、標的へ向かう。
どれだけ馬鹿にされても泣かなかったテオの顔が、やっと恐怖に歪んで、ルイスは胸がすく思いがした。ざまあみろ。
その顔も炎に包まれ見えなくなる。
取り巻きたちが「すっげぇ!」と歓声をあげる。炎が収まった後、地面に一匹の小さな小さな青虫が現れた。
「うわぁ、本当に虫になってる!」
「ルイス、すごいね!」
「これで生意気な口も聞けなくなるね」
貶す声に同意し、賞賛の声に気持ちをよくして、ルイスは満足した。
こいつも僕の力を思い知ったはずだ。巨大になった僕達の姿はさぞかし怖いだろう。
小さな虫は、戸惑うようにうねうねと動く。
ああ、本当に気持ち悪い。ルイスはあざ笑った。
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