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prologue
白いグランドピアノが、ポツンと。
果てなく広がる蒼い空と、緑の草原の継ぎ目に現れ。
輝く指を弾ませながら、黒髪の青年は軽やかにメロディを奏でる。
「カノン!」
私は呼ぶ、曲の名を。
「おいで、カノン」
彼は呼ぶ、私の名を。
右手の旋律を止めることなく、左手を差し伸べながら。
刹那、舞台は暗転。
白いグランドピアノもろともに。
瞬く星の降り注ぐ闇夜へと、黒髪の青年は消えていた。
そんな、夢の跡の物語。
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