6人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえお母さん、マリエ、ペンダントを落としちゃったみたい」
マリエさんの声が聞こえました。
たぬおくんは、こんどこそ、と、ぽむっと一回転。
「よし、いいぞ。星型のかざりがついたかわいらしいペンダントになれた」
それで玄関先に横たわってみました。そしてみごと、拾い上げてもらったのです。
でもマリエさんは、「これじゃないわ。私のにはこんなフワフワはついていなかったもの」とお母さんに言いました。
こんどはたぬおくんの首まわりのふさふさが、ペンダントになりきれていなかったのでした。
「何だかかわいくてゆかいなペンダントなんだけど」
と、マリエさんは目をほそめて見てくれたのだけど、「落とした人が見つけてくれますように」と言って、生垣の高いところに引っかけたのでした。「落としものです」と、はり紙をつけて。
どうもいけません。変身が完ぺきにいかないので、たぬおくんはガッカリです。
最初のコメントを投稿しよう!