たぬおくん

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「ねえお母さん、マリエ、ペンダントを落としちゃったみたい」 マリエさんの声が聞こえました。 たぬおくんは、こんどこそ、と、ぽむっと一回転。 「よし、いいぞ。星型のかざりがついたかわいらしいペンダントになれた」 それで玄関先に横たわってみました。そしてみごと、拾い上げてもらったのです。 でもマリエさんは、「これじゃないわ。私のにはこんなフワフワはついていなかったもの」とお母さんに言いました。 こんどはたぬおくんの首まわりのふさふさが、ペンダントになりきれていなかったのでした。 「何だかかわいくてゆかいなペンダントなんだけど」 と、マリエさんは目をほそめて見てくれたのだけど、「落とした人が見つけてくれますように」と言って、生垣の高いところに引っかけたのでした。「落としものです」と、はり紙をつけて。 どうもいけません。変身が完ぺきにいかないので、たぬおくんはガッカリです。
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