エンドレスな遅延アナウンス

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エンドレスな遅延アナウンス

 島根に引っ越して、間もなくのことである。  大阪とは大違いな田舎の風景に、旅行気分で暮らしていたある日、隣町の漁村地域でお祭りがあるという話を聞いた。  漁村のお祭り、と聞いただけで、脳裏に浮かぶのはイカの串焼き、サザエのつぼ焼き、海鮮丼!  行ってみたい。当然、そんな美味しい匂いを嗅げば、ビールだって飲むだろう、ということで、車ではなく列車で行くことにした。自宅から最寄りのJR山陰本線の駅までは徒歩で十数分だし、お祭りの駅はそこから一駅。楽勝である。  ちなみにこのJR山陰本線、京都から山口まで、四県にまたがって日本海側を延々と走る鉄道なのだが、一部区間は電化されていないので、電車ではない。ディーゼル車が走っている。もちろん、島根県内のほとんどの区間は電化ではない。ゆえに、パンタグラフがない。  なんだかすっきりした駅の風景と、ブイーンという「大丈夫かなあ」と心配になる走行音を楽しみながら、行きはなんの問題もなくお隣の駅へ到着。  たくさんの人たちで賑わうお祭りを堪能し、ほろ酔い気分で帰宅すべく駅へ向かった。
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