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日々、そんなことが続くと、ホントにノイローゼになりそうだった。
そこで、考えた。人は、知らないモノほど恐ろしい。恐怖の対象の正体を知ることで、乗り越えられることもある。敵を知ることこそ、勝利への近道だ。ということで、私は日々、奴らの動きを観察した。そしてついに侵入経路を特定したのだ。
前述したとおり、自然の生き物たちは、案外規則正しい。カメムシも例外ではなかった。奴らが人んちに侵入を企てるのは、だいたい夕方四時以降。西の空があかね色に染まりはじめると、奴らは人んちめがけて飛んでくる。そして洗濯物がないとわかると、網戸に止まる。それからどうするか。のそりのそりと鈍くさそうな歩みで網戸の縁へたどり着くと、なんと、ガニマタの足を縮め、できる限り身体の厚みを減らして、身体を上下左右に揺さぶりながらサッシの隙間から、その醜い身体を押し込むのである。数分後にはまんまと網戸の内側にいた。
どおりで、網戸を閉めているのに、部屋の中に入ってくるはずだ。
その事実を知ってから、午後からは完全にガラス窓を閉めるようにした。すると、室内への侵入がほとんどなくなった(網戸とガラス戸の間にはいるが)。私は、奴らとの戦いに勝ったのだ。
と、ほくそ笑んだのもつかの間。帰宅したダンナとともに、一匹のカメムシが悠々と室内へ飛び込んで来た。
嫌な奴ほどしぶといということを思い知らされた秋の夜長であった。
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