chapter 1 血の繋がり

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・・・・・・・・・・ 【十八年後】 「今日は特別ご機嫌斜めですよ!」 社長秘書課代表サポートチームメンバーの 一人の秋元くるみは 秘書課のドアを叩きつけたい気持ちを押さえ しかめっ面でそっとドアを閉めた あきらかに肩をすくめて被害者面をしている こうすると杏奈に同情をしてもらえるとでも 言いたげだ そしてデスクに書類を放り投げた そんなものだからデスクの向かい側にいる 杏奈は思わずおかしくてクスリと笑ってしまった 自分の不満をどうしたら 社長秘書サポートメンバー主任の 杏奈にわかってもらえるか考えているようだった しかしくるみもこの秘書課に来てもう1年が経つ もういい加減機嫌が悪い時のうちのボスの 癇癪に慣れてもらわなければいけない 代表秘書チーム主任の杏奈の落ち着き払った 態度からしてくるみはまったく本気で 相手にしてもらっていないのもわかっていたが  言わずにはいられないという態度で 杏奈の目の前に来て身を乗り出した 「主任! あの社長はたしかにハンサムだとは思いますよ? それに背が高くて、スタイルも良くて、おまけに声も良いんですよ だけどそれにしてもあのキツイものの言い方と あの威圧感はどうにかならないんでしょうか? あの社長が最近微笑んだ所とか見たことがあります? 彼に睨まれるとまるでカエルのように 動けなくなって脂汗が出てきますよ! 私が脂性になって皮膚科に通い出したら きっと社長のせいですよ!」 杏奈はパソコンのお礼状の定型文の ファイルを整理しながら 話半分でくるみの言う事を聞いていた 忙しく手はマウスを動かしている 「きっとマーシャル商事からの返事が遅いから ただ単にイライラされているだけよ」 「イライラしているってもんじゃありませんよ」     くるみが眉を潜めて身を乗り出して杏奈に言った
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