chapter 4 フェイクな花嫁

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スタバでテイクアウトしたアイスフラペチーノに ストローを刺し杏奈は優しくクルミに渡す 「くるみちゃん・・・・ 泣いて怒ってくれて嬉しいんだけど 実は私ももう一通りそのくだりやったの・・・・ 今は・・・ もうそんなに気にしてないわ 」 杏奈は少しくるみに微笑んで自分も レモンフラペチーノを啜った 「でも・・・ だからといって海運王と結婚なんて・・・ 彼を愛しているんですか?」 「そうね・・・・  」 杏奈はうなずきくるみに真剣な表情で向き合った このビジネス婚はトップシークレットだ でも杏奈はどうしてもくるみに言いたいことがあった 「これは・・・・ 本当にトップシークレットなんだけど・・・ あなたには真実を知っておいて貰いたいの あなたを信用して言うわ 誰にも言わないでほしいんだけど 実は・・・・この結婚はビジネスなの」 くるみはハッと息をのんだが やはりどこか察していたのか 訳知り顔で杏奈の話の続きを待った そして杏奈は彼にプロポーズされた経緯を話し そして一番大事な今後の事を彼女に伝えた 「・・・・半年して・・・ 私が彼と離婚して新しい事業を始める時 くるみちゃん私と一緒にこない? お給料は最初はあなたの望む通りには ならないかもしれないけど・・ 事業がうまく行ったら必ずそれ相応の報酬を お支払いするわ 新しい事業のフラワーショップと アレンジメント教室をはじめる時に 私には信頼できる右腕が欲しいの それには・・・・ 一緒に秘書課で働いて来て私が一番信頼できるのは あなたしかいないと思っているの 」 杏奈は心を込めてクルミに言った くるみは真面目な顔になって杏奈に向き合った 「・・・・秘書専門学校でも ドジで落ちこぼれだった私を 杏奈先輩はそれは根気強く私を指導してくれて ここまで育ててくれました・・・ 今では感謝の気持ちでいっぱいです どこにだって私は杏奈先輩についてきます 」 「くるみちゃん・・・それじゃぁ・・・ 」 「半年後に杏奈先輩が戻ってくるのを待っています!」 「本当に?」 「ええ!私も杏奈先輩が帰って来たら動けるように 準備しておきますね!」 「ありがとう・・・・・ 」 二人は涙をためて見つめ合った 一緒に仕事をしてきて信頼し合える 仲間に会えるなんてごくまれな事だ 杏奈は自分はまだまだ捨てたものじゃないと くるみのおかげで思えた 二人はどちらからとも言わず 硬く抱き合った 「私達・・・・しばらくのお別れね・・」 「寂しくなります・・・杏奈先輩  」
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