chapter 4 フェイクな花嫁

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高身長に前下がりの黒髪といういかにも 女性受けする容貌、そしてグレーブラックのスーツ姿で 今はどこか面白がっているような表情を大和に向けた 「でも雨の日の結婚式ほど 縁起が良い事は無いそうですよ残念でしたね」 そう軽いおしゃべりをして真田は横に設置してある テーブルの銀のトレイからシャンパンが入った グラスを二つ取り 一つを大和に渡した 「その迷信にはどんな 根拠があるんだ?」 大和は弾ける シャンパンの泡を鼻先に当て真田に言った 「結び目は濡れるときつく締まる」 「卑猥だな 」 大和は眉をしかめて言った そしてニヤリとした 「でも気に入った」 カチンと二人は空のグラスを合わした 「ご結婚おめでとうございます」 「ありがとう」 そこで大和はなんだか背後から異様な視線を感じた 振り返ると視線の先にはこちらを見て 瞳をウルウルさせている ディアマンテの秘書軍団がいた 「あ~・・・その・・・ 何だ・・・真田君・・ 君には非常に悪いのだけれど 僕と君がこうして背後にユリを背負って 寄り添っていると・・・・ その・・・・ 一部の人間に誤解を招くと言うか・・ なんと言うか」 「はぁ?・・・・」 「BLというものは決して自分達はその領域に 入れないせいで・・・ なんと言うか・・・ とても美化されているみたいだ・・」 「おっしゃっている意味がよくわかりません」 「わからなくていいよ 」 今や招待されている社員のうち 秘書軍団数人の熱い視線を二人は一身に受けて 大和はとても居心地が悪くなっていたので その場を離れようとした
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