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そうこうしていうちに花嫁のお色直しで
大和と杏奈はクラシカルなウエディング音楽と共に
一旦会場を後にすることになった
プロのアナウンサーの誘導の元
ドライアイスとレーザービームに包まれて
退場口に立って二人で深々と招待客にお辞儀をした
宴会場の扉が閉じられロビーには別世界のような
束の間の静寂に包まれた
大和はホッとした
これで杏奈と少し話しが出来る
なにせ披露宴も中盤に差し掛かっているのに
今朝から彼女とは一言も会話らしいものが出来なかったのだから
「杏奈さん・・・・・ 」
大和は隣に佇んでいる杏奈に向き直った
すると驚いたことに杏奈がむんずと
ドレスの裾を思いっきり掴んで持ち上げ
自分の履いている厚底ヒールを宙高く蹴り上げた
は?
大和の目が点になっているうちに
すかさずミラージュのスタッフが宙に飛んで
そのヒールを両方ともキャッチする
いつの間にか杏奈のドレスのスカートは
4人のスタイリスト班に持ち上げられ
ふくらはぎまでの杏奈の裸足の脚が現れた
「裾は慎重に扱って!」
「いい?呼吸を合わせて!」
「せーの! 」
自分もスカートの裾をスタッフ達と一緒に
持ち上げて
杏奈がくるりと大和の方に厳しい顔を向けて言った
「それじゃ!大和さん!
20分後に!失礼しますっっ」
「走ります!」
「走ります!」
「走ります!」
今や数人に持ち上げられているスカートと
ベールのせいで大きな布の塊と化した杏奈は
ミラージュのスタッフと
共に全速力で風の様に去って行った
大和は何も言えず
呆然と彼女達の背中を見送った
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