chapter 5 豪華客船とワルツ

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バスローブに髪をバスタオルで民族の様に巻いて 杏奈のスーツケース3つを忙しく広げる 本当は昨日のうちに荷ほどきもしておきたかったのに なんてことだ石のように朝までぐっすり眠ってしまった 杏奈は備え付けのクローゼットの引き出しをあけ パステルカラーのショーツや服を次々に クローゼットに収めて行った 母が揃えた花嫁衣装は全部新品で どれも新妻にふさわしいようなワンピースや タイトスカートばかりだった ドレッサーにはミラージュから紙袋いっぱいに 贈呈された新品のメイク道具を箱から丁寧に出し 引き出しにしまう 基礎化粧品の瓶は鏡の前に並べる 高級コスメオタクの杏奈はパッケージは 取っておく性格だ 丁寧に箱やら紙袋やらを畳んでクローゼットの 隅にしまった どうせ後で捨てる始末になるのに ここでも几帳面な性格が発揮される 今日からここで5日間暮らす準備を整え パステルイエローのシンプルだが上品に 見えるフレアーワンピースに着替えた 髪をハーフアップに纏めシャネルのバレッタを付け 小さなレースのクロッチバッグにリップとスマホ 少しの現金を入れて   丁寧に戸締りをしてラグジュアリースイートの カードキーで鍵をかけた それからスキップして カフェレストランに向かった
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