7626人が本棚に入れています
本棚に追加
夕方からドレッサーの前で杏奈は念を入れて
チャリティーディナーのために身支度を整えた
こんなに優雅に何時間もかけて
自分を手入れすることは生まれて初めてかもしれない
働かずに晩餐のためだけにゆったりと時間を取る
もう一度ダンスの時のときめきを味わいたい気持ちを
強く心に持って丁寧に手持ちのドレスを選んでいった
母が選んでくれたHer lip toのクリーム色のドレスは
ウエスト部分にひだ飾りがついた
シルクシフォンのドレスで
杏奈の体にピッタリとフィットし
ノースリーブで体のラインを美しく見せてくれ
今の若さで溢れている杏奈には良く似合っていた
ジュエリーはダイヤモンドの小さなネックレスと
ピアスとブレスレットだけにした
そこでキクエさんを思い出した
彼女はお首のシワ隠しのために大ぶりの
ジュエリーを探して探して満足いくものがなくて
ついにご自分でデザインなさって
大当たりを起こしたって・・・
思わず杏奈はクスクス笑って
昼間の彼女の話を思い出していた
「私はジュエリーのデザインが得意なの
海運王の島と橋でつながった隣の町に工房があるのよ
ささやかだけどうまく行ってるわ 」
「いつか作品を見せていただけるかしら」
ダンスレッスン後
彼女と昼食楽しみながら杏奈が尋ねた
「私のホームページを教えるわ
落ち着いたら工房へいらっしゃい
仕いの車を海運王の屋敷へやるわ」
「楽しみだわ」
最初のコメントを投稿しよう!