chapter 5 豪華客船とワルツ

15/34
前へ
/383ページ
次へ
夕方からドレッサーの前で杏奈は念を入れて チャリティーディナーのために身支度を整えた こんなに優雅に何時間もかけて 自分を手入れすることは生まれて初めてかもしれない 働かずに晩餐のためだけにゆったりと時間を取る もう一度ダンスの時のときめきを味わいたい気持ちを 強く心に持って丁寧に手持ちのドレスを選んでいった 母が選んでくれたHer lip toのクリーム色のドレスは ウエスト部分にひだ飾りがついた シルクシフォンのドレスで 杏奈の体にピッタリとフィットし ノースリーブで体のラインを美しく見せてくれ 今の若さで溢れている杏奈には良く似合っていた ジュエリーはダイヤモンドの小さなネックレスと ピアスとブレスレットだけにした そこでキクエさんを思い出した 彼女はお首のシワ隠しのために大ぶりの ジュエリーを探して探して満足いくものがなくて ついにご自分でデザインなさって 大当たりを起こしたって・・・ 思わず杏奈はクスクス笑って 昼間の彼女の話を思い出していた 「私はジュエリーのデザインが得意なの 海運王の島と橋でつながった隣の町に工房があるのよ ささやかだけどうまく行ってるわ 」 「いつか作品を見せていただけるかしら」 ダンスレッスン後 彼女と昼食楽しみながら杏奈が尋ねた   「私のホームページを教えるわ 落ち着いたら工房へいらっしゃい 仕いの車を海運王の屋敷へやるわ」 「楽しみだわ」
/383ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7626人が本棚に入れています
本棚に追加