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・・・・・・
アグネスとかいうモデルは信じられないほど
ほっそりした美女だった
顔立ちは非の打ちどころはなく
輝く茶色の瞳・・・
真っ黒のワンレンのロングヘア―・・・
付けたような鼻
抜ける様な白い肌
官能的なふっくらした赤い唇
まるで完璧が現実になったようだ・・・
でもどこかこの顔立ちには見覚えがあった
そうあの「ミラージュ」のメイクアップチームだ
彼女達もどこか同じ顔立ちで
杏奈はアグネスと言うこの人も
やはり顔をいじっているのだろうと感じた
「こんばんは、キクエさんホノカさん 」
アグネスの挨拶は二人に向けられたものだが
視線は杏奈をまっすぐに射貫いていた
「ごきげんよう、アグネス、お父様はお元気?」
キクエの声は冷ややかだが
アグネスは意にも介さないようだ
「今日はご親戚が一緒なの?」
アグネスは杏奈を見てからかうような口調だったが
目は笑っていなかった
隣でホノカが息を凝らしたのが
杏奈にはわかった
「この人は海運王の花嫁の杏奈よ!
あなたも船から見ていたでしょう?」
ホノカが怒って言い返した
一気に周りは彼女達をめぐって
険悪な雰囲気になった
「ヤマトも思い切ったことをなさったわね
彼は正式な結婚なんか考えてもいなかったくせに」
かすかに作り笑いを浮かべる
「でも安部家の後継者をこしらえる責務が
ありますものね
しかたがないことですわ」
いったいどんな関係だったのかしら・・・・
杏奈は思った
しなやかなアグネスの体が大和に絡んでくる所を
想像して思わずムッとした
そこでハッとした
・・・なぜ私はムッとしなければいけないの?
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