chapter 5 豪華客船とワルツ

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私たちは愛し合って結婚したわけではないのに しっかりしなさい杏奈と気を引き締める 彼に言い寄る女なんて山ほどいたはず でもこんなアグネスに太刀打ちできるのだろうか すべてが負けているような気がする アグネスが手をヒラヒラして杏奈に言った 「ねぇ!あちらで一緒にお話しなさらない? 彼のこと色々教えてあげるわ 袴田のみなさんもあちらのテーブルに行きましょ!」 一瞬アグネスの瞳にハッキリと 敵意が燃え上がった 「行ったら嫌味でハチの巣にされるわよ・・ どうする? 」 ホノカが杏奈の肩を持って囁く その時杏奈がクスリと笑ったのを アグネスは見逃さなかった   「何がおかしいのよ!」 杏奈は静かな口調でクスクス笑って言った 「だって・・・・・ 話す事なんかないのに・・・ 私達が行くと思っていらっしゃるから・・・」 「私と大和に昔何があったか気にならないの?」 「今が幸せだから過去は振り返らないの 」 ずいっとアグネスが杏奈に歩み寄った 困ったわね・・・・ 言い争いにならないといいけど・・・ 杏奈は心の中で思った 「可愛い顔してうまく大和を釣ったわね! どんな餌を使ったの?」 キクエが言った 「ここは公の場よ! 野暮なことはおよしなさい! 」 今やアグネスは腕を前に組み 杏奈を見下ろしていた 「いい加減にしなさいよ! こんなことして何になるの?」 ホノカも顔をしかめて言う アグネスの険しい視線が 杏奈を舐めまわす様に品定めする
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