chapter 5 豪華客船とワルツ

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「残念だわ大和・・・ 」 アグネスは未練たっぷりに言った  「あなたと私なら楽しくやれたのに・・・」 「お父様があちらでお待ちだよアグネス それと君の婚約者候補を沢山引き連れてね 」 その言葉を聞いてアグネスは鼻にしわをよせて しかめっ面になり踵を鳴らして背中を向けて 人込みに紛れて行った 「・・・・あの・・・もう離して? 」 杏奈は大和の手を振りほどこうとしたが 強く大和に全部の指を絡められて 恋人繋ぎのまま離してもらえなかった 上目使いで大和を見る 「ずっと・・・こうしてなきゃ・・ダメ?」 「ダメ 」 愉快そうに大和の瞳がいたずらに光った どうやら彼はさっきの私達のやり取りを 面白がっているようだった メインホールのディナー会場の扉が盛大に開き 三つの入り口に人々が集まった 杏奈と大和のテーブルは上座にあり その横には袴田キクエと 孫のテーブルが用意されていた 出された料理はシーフードがメインでどれも 美味しく心が温まった 食事の後は前回への寄付へのお礼と これから変わらぬ援助のお願いのスピーチが行われ 特にキクエが支援していると言っていた 動物虐待の慈善団体のスピーチは胸を突かれた 今こうしている間でもお金儲けのためにペットは どんどん人間の都合の良い方へ改良され 売れなければ安楽死させられる・・・ 杏奈はただひたすら交尾と出産を檻の中で 繰り返されて生きている とあるブルドックの一生のVTRを見て いたたまれない思いからそっと涙を流した
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