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「残念だわ大和・・・ 」
アグネスは未練たっぷりに言った
「あなたと私なら楽しくやれたのに・・・」
「お父様があちらでお待ちだよアグネス
それと君の婚約者候補を沢山引き連れてね 」
その言葉を聞いてアグネスは鼻にしわをよせて
しかめっ面になり踵を鳴らして背中を向けて
人込みに紛れて行った
「・・・・あの・・・もう離して? 」
杏奈は大和の手を振りほどこうとしたが
強く大和に全部の指を絡められて
恋人繋ぎのまま離してもらえなかった
上目使いで大和を見る
「ずっと・・・こうしてなきゃ・・ダメ?」
「ダメ 」
愉快そうに大和の瞳がいたずらに光った
どうやら彼はさっきの私達のやり取りを
面白がっているようだった
メインホールのディナー会場の扉が盛大に開き
三つの入り口に人々が集まった
杏奈と大和のテーブルは上座にあり
その横には袴田キクエと
孫のテーブルが用意されていた
出された料理はシーフードがメインでどれも
美味しく心が温まった
食事の後は前回への寄付へのお礼と
これから変わらぬ援助のお願いのスピーチが行われ
特にキクエが支援していると言っていた
動物虐待の慈善団体のスピーチは胸を突かれた
今こうしている間でもお金儲けのためにペットは
どんどん人間の都合の良い方へ改良され
売れなければ安楽死させられる・・・
杏奈はただひたすら交尾と出産を檻の中で
繰り返されて生きている
とあるブルドックの一生のVTRを見て
いたたまれない思いからそっと涙を流した
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