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杏奈はため息をつき
クイーンサイズのベッドにドレスを脱いで放った
したいことは沢山あった
お風呂にゆっくり浸かり
持ってきた恋愛小説を読む
ベッドに潜ってなんとか眠る
でも眠るなんて出来そうにもなかった
向かいの部屋にいる彼の存在に
全神経がピリピリしている
杏奈はジェットバスに浸かり
髪を乾かし
歯を磨いて
明日の朝に着る洋服と靴をクローゼット前にある
籐製のトルソーにコーディネイトして準備した
そして贅沢なクイーンサイズのベッドにもぐりこんだ
ウォーターベッドは杏奈が寝返りを打つたびに
心地よく杏奈の体にフィットしその日一日の
体のコリを吸い取ってくれた
ひんやりとパリッとしたシーツが心地よかった
枕がいくつもある贅沢なベッドに横たわりながら
ぼんやりと考えた
しかしこのベッドは一人には大きすぎる
杏奈の隣はスッカスカだ
なんとも奇妙な新婚の夜だった
何か月前には正人と結婚するつもりだった
正人とだったら絶対こんな贅沢な部屋で
夜をむかえることは出来なかっただろう・・・・
しかし今のように花嫁がベットで一人ぼっちと
いうこともなかっただろう
―彼も・・・・大和さんも
今別の部屋で自分と同じようにベッドに入り
寂しさを感じているのだろうか・・・
いや まずそれはないだろう
彼の存在が気になってしかたがなかった
トイレの水が流れる音
ジェットバスの音
あれは・・・・電気シェーバーの音?
リビングで冷蔵庫を開ける音・・・
裸同然の彼が同じ客室の中をウロウロしている
姿がまざまざと浮かんでくる
広い肩・・・
男らしく引き締まった腹部と腰・・・・
杏奈は震えるように息を吸いこみ
ゆっくりと吐いた
ああ・・・・私は何を考えているの?
明日はどこを見て回ろうか・・・・
杏奈はどうしようもなくザワつく気持ちを抑え
眠りに落ちた
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