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「シャンパンを飲んだことがないの?」
ホノカが笑いながら聞いた
「一度だけあるわ 父方の親戚の家で
飲みかけのボトルを少し分けてもらったの
でも・・炭酸がきつすぎて妹とお箸で混ぜて
炭酸を飛ばして飲みました
全然美味しくなかったわ 」
キクエが言った
「これはフランス産だから気に入ると思うわ
少し甘いし泡が上に向かって立ち上がるのが
見えるでしょう?
これが良いシャンパンの証拠なのよ 」
杏奈はトランペットの先を逆さまにしたような
グラスを鼻に近づけ鼻先でパチパチとはじける泡の冷たい感触を楽しんだ
とても良い匂いがする
「どうして泡が出来るの?」
良い匂いにうっとりして尋ねる
「魔法みたい」
「二次発酵という製法のせいよ」
キクエの口調はいかにも物を知らない少女に
話しかけると言う感じで面白がっている
「ソムリエなどがシャンパンをわざとらしく
コルクを高く音を上げて飛ばすでしょう?
あれはよく発酵されている良いシャンパンだという
ことをアピールするためよ 」
「それに見栄っ張りのセレブはシャンパンを片手に
ダラダラおしゃべりするのが好きなのよ」
「でもそれじゃおしゃべりするうちに酔っ払うわ」
杏奈の疑問に二人は笑った
「飲み慣れてくると
だんだん酔わなくなるものなのよこれが」
甘口だと言われたシャンパンを試しに口に含むなり
杏奈は鼻の頭にシワを寄せた
「・・・やはり・・お酒はあまり好きじゃないわ
ファンタはないかしら 」
と杏奈が言うとキクエもホノカもそばにいた
ソムリエ達にもドっと笑いが起こった
私なにかおかしなこと言った?
杏奈は真っ赤になりながら
照れ笑いをした
「あの・・・
でもグラスの形はとても良いですね・・」
そのセリフも周りに受けたらしく
杏奈は恥ずかしくなって
もう何も言わずにいようと思った
そしてなんとなく居づらくなったので
向かいのストリートの露店を少し見てくると
その場をそそくさと去った
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