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「あれがうちの本家だよ」
丘のふもとの平原のかなたに
今は夕刻に宝石のように輝いている
茶色い大きな建物があった
そこから少し下った所に街が見える
やっと車がすれ違えるぐらいの幅の
山道を登って茶色い建物に近づくにつれて
当たりの景色はいっそう美しくなった
思ったよりも車道もきちんと舗装されており
道路は曲がりくねりながらに高くそびえる
茶色い屋敷に通じていた
丈高い鉄の門が大和の車が止まると自動で開いた
蔓バラが古い石壁からのぞき
その門には半ば消えかけた安部家の紋章が刻まれていた
杏奈はその紋章をよく見ようと思ったが
車はそのまま通り過ぎ
さらに多くのバラが咲き乱れている門庭を通った
「素晴らしいわ!ここの庭師はとても
センスのあるお方だわ 」
「あとで藤本のじいさんに会わせてやるよ」
「おじいさんが管理されているの?」
大和はニヤリと笑った
「生きていればね」
大和は微笑んで4WDのベンツの
ハンドルを操作した
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