chapter 6 太陽と風に抱かれて

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大和と杏奈がステンドグラスが輝く 大理石の広い玄関へ入ると 5人の使用人が歓迎した 真ん中にいる貫禄たっぷりの 真っ白いエプロンを付けた 大柄な家政婦長が進み出て涙ながらに歓迎した 「ああ・・・っ・・・ お坊ちゃま・・・お帰りなさいませ  」 大和は笑いながら家政婦長を抱きしめた 「お富さん!」 「杏奈!こちらは浜田富さん! 祖父の代から家に仕えてくれてる人だ 我が家の実に有能な家政婦で――」 紹介を始めようとすると お富さんが杏奈の両手をガシッと握った 「ああ・・ようこそお越しくださいました 奥様・・・ まぁなんてお美しい人でしょう」 家政婦長のお富さんは角ばった顔を 輝かせ杏奈の腕をブンブン振った 「こんなお美しい奥様をこの屋敷に お迎え出来てみんな大喜びしていますわ ええ・・・もう有頂天でございます 」 お富さんはエプロンの端を握りしめて さめざめと泣くのが先かしゃべるのが先かと 大忙しだ 「ああ・・・あたしゃね・・・ もう諦めていたんですよ・・・ 大旦那様がお亡くなりになられてこの 島もこの家もすっかり変わってしまいました お坊ちゃまは本国の事業拡大にしか興味なくて もう安部家は終わりだと・・・   」 「あ・・・ありがとうございます お富さん・・・ あの・・ 大和さんからとても優秀な家政婦さんだと 伺っています 」 「おお・・ なんと優しいお言葉をありがとうございます 奥様・・ 」 大和は肩をすくめて杏奈に訴えた 「すぐ感傷的になるのがたまに傷なんだ」 大和のおふざけも お富さんには目に入っていない様だ
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