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「安部家の使用人をご紹介させていただいても
よろしいでしょうか?奥様
みんな喜んでいます 」
家政婦長の後ろには家中の使用人が集まっていて
杏奈はお富と共に使用人達の列へと向かい
順にあいさつした
二言三言交わしながら相手の名前を頭に入れて行く
杏奈は安堵した
よかったみんな好意的で歓迎してくれている
それから大和に屋敷を案内された
「2階の客室が5つ
一階は応接室と執務室と主寝室を合わせて8つだ」
真ん中のらせん階段を上がりながら
天井から差し込むクリスタルの
シャンデリアを見上げる
「・・・・まるで大昔にタイムスリップしたみたい・・
絶対迷子になる自信があるわ・・・」
「作りは単純だよ」
大和は言った
「この屋敷は明治時代に建てられた
鹿鳴館だったんだ
それを祖父が買い取ったんだよ
小さな港の悪ガキだった祖父は裸一貫で
貿易船の船乗りになって外国に渡った・・・・」
「そして祖父は外国の珍しいものを日本に
運んでくると儲かることを覚えた
それは胡椒・・・蜂蜜から始まって、コーヒー
婦人物のスカート、革靴・・・
ありとあらゆるものを輸入した 」
二人は階段を上がって廊下を南方面にゆったり歩いた
南側の舞踏ホールを横切る大和が
舞踏ホールを親指で指す
「ここでは法に触れる物も夜な夜な売買された 」
大和が面白おかしく話す
あまりの安部家の祖父の偉大さと歴史に圧倒され
杏奈は改めて自分とは生まれも育ちもまったく
違う男性の元に嫁いだのを自覚した
期間限定だけど・・・・
そして次の廊下の壁には安部家の
肖像画と写真が掛けられていた
「ご先祖様ね」
と大和に聞いた
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