chapter 6 太陽と風に抱かれて

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・・・・・・・ そのまま二人は陽光が溢れる中庭を眺めながら 回廊を渡り 突き当りの安部家の紋章が彫られた 大きな二重ドアの前に来て思わず足を止めた 杏奈はごくりと唾を飲み込んだ このドアの向こうの区域は この屋敷の主人と花嫁のために用意されたものだからだ 入ってみて杏奈は息を飲んだ それは素敵な素晴らしい住まいだった エンジ色の絨毯に大きな暖炉があるリビングは ジャガード織りの重厚そうなソファーが囲んでいる あそこで本を読んで  うたた寝をすると気持ち良さそうだ そしてその横には最新の大型の壁掛けテレビが 掛けられている テーブルに何個もあるリモコンを見ると ネットテレビチャンネルが沢山ある    つまりここはネット環境が整った 時代をタイムスリップしたような明治時代風の洋室に 超近代的な設備が整っているということだ 左横のドアには軽い食事が作れる システムキッチンと豪華な浴室に続く通路があった そして何よりも素晴らしかったのは 最奥の寝室の四柱式の天蓋付きベットだった 巨大なマホガニー材でベッドボードと柱に 華麗な花網模様がびっしりと彫られている 彫刻をほどこしてある柱に 上品なクリーム色の薄い布が ふさの付いた紐で結わえ付けられている クリーム色のシーツに相反して 四角い赤いクッションがいくつも 真ん中をへこませて並べられている その様はいかにも新婚仕様だ その横に3箱も木目が綺麗な木の箱の ティッシュケースが置かれていた 思わず杏奈は恥ずかしくなって頬を抑えた それを見た大和が笑った 「やれやれ・・・・お富さんのすることは あからさまだな  こっちを見てごらん 」
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