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もう一つの扉を開けると
その部屋は天蓋付きベッドほど豪華ではないが
シンプルで一人で過ごすには十分な
快適な家具類が整えられていた
「祖父はずっと体が悪かったから
ここに付き添い人が暮らしていたんだ 」
「まぁ!
それならこの部屋は私が使わせていただきます」
「君はあのベッドを使ってくれ
どうせこれから始まるこの島での仕事に追われて
早い時間に帰ってくることはないから
この島を引き継いでずっと放置していた
事業の立て直しやディアマンテの海洋開発チームの
指導にもあたらないといけないんだ 」
「そう・・・なんですか・・・・ 」
杏奈はため息をついた
彼の秘書であったにもかかわらず
本当に彼の事を何も知らなかったみたいだ
「ここで新しい事業開発を半年間試みて
本国に帰って商品展開をする
まぁそのうち君にも見せてやるよ」
大和は何だかウキウキ新しい事業のことを
考えているようだった
杏奈は考えた・・・・・
きっと遅かれ早かれ噂になるに決まっている
豪華客船に乗っている間は気づかれなかったが
ここでは親しみのある・・・
だが好奇心にあふれた眼にさらされて
暮らさなねばならないのだ
新婚早々の夫がずっとベッドを共にしないとなったら
変に思われるに決まっている
だがどうしようもなかったあんな大げさな
四柱式のいかにも新婚さんの天蓋ベッドじゃなく
シングルベッドが二つとかなら
合宿だと思って寝れるのにと
ずっと考えていた
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