chapter 6 太陽と風に抱かれて

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もう一つの扉を開けると その部屋は天蓋付きベッドほど豪華ではないが シンプルで一人で過ごすには十分な 快適な家具類が整えられていた 「祖父はずっと体が悪かったから ここに付き添い人が暮らしていたんだ 」 「まぁ! それならこの部屋は私が使わせていただきます」 「君はあのベッドを使ってくれ どうせこれから始まるこの島での仕事に追われて 早い時間に帰ってくることはないから  この島を引き継いでずっと放置していた 事業の立て直しやディアマンテの海洋開発チームの 指導にもあたらないといけないんだ 」 「そう・・・なんですか・・・・ 」 杏奈はため息をついた 彼の秘書であったにもかかわらず 本当に彼の事を何も知らなかったみたいだ 「ここで新しい事業開発を半年間試みて 本国に帰って商品展開をする まぁそのうち君にも見せてやるよ」 大和は何だかウキウキ新しい事業のことを 考えているようだった 杏奈は考えた・・・・・ きっと遅かれ早かれ噂になるに決まっている 豪華客船に乗っている間は気づかれなかったが ここでは親しみのある・・・ だが好奇心にあふれた眼にさらされて 暮らさなねばならないのだ 新婚早々の夫がずっとベッドを共にしないとなったら 変に思われるに決まっている だがどうしようもなかったあんな大げさな 四柱式のいかにも新婚さんの天蓋ベッドじゃなく シングルベッドが二つとかなら 合宿だと思って寝れるのにと ずっと考えていた
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