chapter 6 太陽と風に抱かれて

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・・・・・・・・・・・ 杏奈は考えていた 確かに大和の祖父「安部昭三」は 頑固で寛容な所がなかったかもしれない あの写真には頑固さと高潔さが表れていた そういう頑なな態度が大和をこの地から去らせ 本土の未知の海運業に追いやってしまったのだろう おそらく大和はこの故郷を忘れようと努め 二度と戻ってこないつもりだったのだろう 彼は一人の女性への愛に傷ついてからは 情熱的なものはからいっさい遠ざかってしまおうとしていたのだろう そして彼は感情の混じらない書類上の結婚を好み もう二度と誰も愛さないと誓ったのだ・・・・ まさに私と同じだわ しかし杏奈との結婚でこの島を取り戻した現在 彼は長年の禁制から解き放たれたように見えた そして自分もこの暮らしが長く続くとは思えず お富さん達には申し訳ないけど 遠からずまた自分は本土に戻り もちろん秘書に戻る必要はまったくないけど 彼は杏奈の夢を叶える手伝いをすると言ってくれた このまま上手く自分も彼も半年間やって行けば 万事お互い丸く収まる所に収まるはず しかし・・・・・ 祖父と衝突までして彼が愛した女性とは どういう人だったのだろうか・・・・
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