chapter 6 太陽と風に抱かれて

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「お顔と手を洗って 私は替えの新しいシャツを持ってきますから」 「どうせまた汚れると思うが・・・・」 「洗って」   杏奈はとても良い匂いのする自家製石鹸を大和に渡した その香りの誘惑に勝てず 大人しく手と顔を洗っている大和を背に 杏奈はタオルと替えのシャツを用意した 「軽い軽食がありますよ 私はまだ手を付けていないから食べてください 」 「いや・・・・すまないが 仕事がたまってる―― 」 「座って」 大和は目をぱちぱちしたが 杏奈がソファーの開いた所を指さした所をじっと見た すると以外にも彼は杏奈に素直にしたがった ソファーの端に腰をおろし長い脚を折りたたんで 杏奈をじっと見る   杏奈は嬉しくなって ソファーテーブルを大和の前に持ってきて カリカリのベーコンと目玉焼きの乗った パンケーキを置いた 「無理だよ 本当に時間がない――」 「ハイ!あーん」  杏奈はあきらめずパンケーキとベーコンと卵を ナイフで小さく切って三段重ねに刺した フォークを大和に差し出した すると大和は今度も素直に大口を開け むしゃむしゃと咀嚼した   そして杏奈はティーソーサーから たっぷりとレモネードを注ぎ そこに大ぶりのレモンスライスをグラスに 浮かべ大和に渡した
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