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多分彼が欲していた睡眠をほんの少しだけでも
誰にも奪われないようにしてあげたかった
平穏な数分間が過ぎても
静寂を破るものは何もなかった
彼の生き方を見ているとまるでこの世と戦い
世界を征服するつもりなのかと思えてくる
今までもディアマンテの業績を見ても
彼はすでに多くの実績を上げて来たにもかかわらず
当の本人はその実績にまるで満足せず
喜びさえ感じていないような気がする
今の彼を見ているとまるで死に急いで戦場で
戦っている戦士のように思える
そんな彼が平穏を手に入れる日は来るのだろうか
いつか愛する人と子供をもうけて
心の安らぎを見出し人生を楽しむことは
あるのだろうかと杏奈は思った
30分が経った―
さすがに他の業務に差し支えが出るかもしれないと
思い杏奈は軽く大和を揺すって起こした
「・・・・なんだか・・・
スッキりしたぞ・・・ 」
彼は目を輝かせ時計を見て飛び起きた
ほんの束の間だけど杏奈の言う事を聞いて
休んでくれた大和に嬉しくなった
「30分ほどでしたら
この後の業務に差し支えがないでしょう?
あなたはもっと息抜きが必要よ――キャッ! 」
突然大和が杏奈の手を引っ張り自分の
膝の上に乗せた
「どんな息抜きがいいと思う?」
突然膝に乗せられて問いかけの意味を察した
杏奈は真っ赤になって
大和の目を見た
顔と顔があまりにも近い
彼の熱い瞳のきらめきに息も出来ないぐらいだ
彼の両手は杏奈の腰をガッシリ掴んでる
狼狽する彼女を見て彼の目は愉快そうに
輝いている
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