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「杏奈先輩は自分の感情をおさえる術に長けているし
ボスの扱いには達人級ですよ
でも大抵の女性は彼を見たら佐奈ちゃんみたいな
反応をしますよ
でも佐奈ちゃん!社長ってめっちゃ怖いんだよ~」
くるみが面白可笑しく佐奈を脅す
佐奈はケラケラ笑っている
佐奈の顔に新たな興味の色が浮かんだ
「じゃぁお姉ちゃんは
安部社長とのラブロマンスなんて一度も
夢見たことないの?
ほら誰もいないオフィスで社長と秘書が・・・とかさぁ」
「変な小説サイトの見過ぎよ!」
くるみも日本酒を飲みながらヒラヒラと手を振る
「だいたいオフィスに
誰もいなくなることなんてないしね!」
夢見がちな女子高生は負けじと尚も言う
「でも佐奈なら社長にアタックするな!
そしたら一躍社長夫人よ」
キャハハハとくるみは笑った
酔いが回ってテンションが上がっている
「そうそう!新人の頃の秘書は必ず
社長を見てそう夢見るんだよね~ 」
杏奈は曖昧に頷いた
「そしてその夢は1か月もしないうちに
見事に壊れるのよ
彼がどれほど仕事に厳しいか大抵の
玉の輿を願っているだけの秘書は彼の傍では
使い物にならないわよ 」
夢見がちな少女は尚も唇を尖らせて言い返した
「佐奈!絶対お姉ちゃんの会社に
就職するもん!
そして安部社長をメロメロにするんだから!」
「あの社長の秘書で働くことがどれだけ大変か!
もしそうならあなたのお姉さんが
とっくにアタックしてるわよ!
言ってやってくださいよ!杏奈主任!」
お酒に酔ったくるみが佐奈の無邪気な言葉が
つぼにはまり大笑いをしている
杏奈は
コホン・・・と一つ咳をした
「そうね・・・安部社長に関心を持つには
長く一緒に働きすぎたんじゃないかと思うわ
なぜなら彼の事を分かってくれば分かるほど
彼は恋愛対象には当てはまらないという事よ
いい機会だから二人には私の彼への評価を
話してさしあげるわ 」
二人を見て口元に笑みを浮かべた
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