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「おはようございます!あなた
朝食の用意は出来ていますよ 」
杏奈はみずみずしい笑顔をたたえ
きびきびと立ち働いている
花柄の白いエプロンがほっそりとした体の
ラインを際立たせている
背が低い女性の特徴で胴が短くて可愛らしい
艶めく茶色い髪はおでこの所から編み込んで
後ろでまとめている
食堂の戸口にあらわれた大和に気づいて
ほほ笑む杏奈は人懐こい子犬を思わせる
朝日に照らされ
なぜか目も眩むほどの可愛らしさに
大和は下半身が疼くのを覚えた
「すぐに用意しますからね~」
「いや、けっこう」
大和は反射的に答えていた
「コーヒーだけもらえれば・・・・
申し訳ないが
朝食は食べない主義で・・・
朝はコーヒーだけ飲むのがもう何年も日課で――」
コンッ・・・・
コン?
杏奈に目の前に置かれた木製の茶色いお椀を見て
大和は途端に口ごもった
お椀には黄金色の味噌汁の中に
灰色の貝殻が見え
中央に小刻みのネギがふりかけられている
「――あさりかっっ!!」
思わず大和は口走った
実を言えばあさりの味噌汁は大和の大好物だった
コンッ ←だし巻き卵(大根おろし付き)
コンッ← ほうれん草の白和え
コンッ← アジの干物焼き(炭火)
コンッ← 切り干し大根とひじきの二種盛り
大和の目の前にランチョンマットが置かれ
綺麗な扇型に次々と大和の好物を並べられる
そして極めつけ杏奈が大和の横に来て
藁作りの輪っかの形の鍋敷きをそっと置き
その上に小さな黒い土鍋を置いた
「・・・?それはなんだ?」
大和が聞くと
杏奈はニッコリと笑って大和が凝視している
タイミングで蓋を開けた
覗き込むと炊き立ての白飯の
湯気が大和の顔を襲った
まだくつくつと音を立てている
真珠の様な白飯が大和の目に飛び込んできた
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